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2014年12月27日土曜日

河本の実験室の2014年まとめ

今年も、無くても死なない物を沢山作りました。
2014年も残り僅かとなったので、まとめてみたいと思います。去年のまとめ


言葉をカラーパレットに変換する色色[:iroiro]

ソチオリンピック」の検索結果

言葉から連想される色を生成するサービスです。(リンク
ネットの検索結果に基づき、どんなに抽象的な言葉でも「それっぽい」色を提案してくれます。

2月の公開後、約50万語が検索されました。

ちなみに一番検索された言葉は「青峰大輝」です。
日本のデザイナーだけでなく、中国のアニメ好きに使われたり、服のコーディネートをする人が現れたり、予想外に流行りました。
Mashup Awards 10でも8作品にAPIとして利用して頂けたのも嬉しい出来事です。

少し残念なのは、欧米ではあまりウケなかったことです。
色に対する感覚が合わなかったんでしょうかね。


部屋をマリオカートの世界に変えてしまうRomoCart


iPhoneで操作できるロボット「Romo」とプロジェクションマッピングを組み合わせて、部屋をマリオカートの世界に変えてしまうゲームを作りました。(リンク
「生活空間をゲームにしてしまおう!」という夢いっぱいのコンセプトに共感してもらえたのか、ニコニコ技術部で一位になり、engadgetCNET等の海外メディアでも取り上げられました。

単に静的な環境に絵を投影するのではなく、「物」を拡張してパワーアップさせる手段としてプロジェクションマッピングを使うという考え方は、レーシングゲームに留まる話ではなく、色々な発展の方向性があると思います。

来年も多分色々作ります。


住民の行動に合わせて部屋の照明環境を最適化するロボット照明「Myra



住民の場所や行動(読書中、歩行中、テレビ鑑賞中など)を認識し、複数のロボットアーム照明を協調動作させて最適な照明環境を作り上げるシステムです。(リンク

ぶっちゃけ照明って見たい場所だけ照らされてりゃいいよね」という考えから作ってみました。
日本語版の動画は作らなかったのですが、海外では意外とウケてHackadayなどのメディアに掲載されました。


サイゼリヤの間違い探しを自動で解くプログラム




サイゼリヤに行って間違いさがしがどうしても解けなかったんで、画像認識で解くプログラムを作った、というお話。(リンク
異様にRTされました。みんなサイゼリヤ好きなんですね。


iPhoneをサーマルカメラとして使えるFLIR ONEの熱画像をプロジェクションマッピングしてみたら意外と面白かった、という動画です。(リンク

熱湯と氷水が混ざり合う様子が見れたり、教育やらなんやらで使えそうな雰囲気ですが、あまりこれといった目的で作ってません。

Hackadayイタリアのメディアで紹介されました。

僕が「なんのために」作ったかというストーリーをちゃんと伝えなかったためか、記事で勝手な意味を持たせられてコメント欄が混乱するという目に遭いました。動画をアップするなら、ちゃんと「なにが課題で」「なんのために」作ったのか分かりやすく伝えなきゃ駄目だという良い例です。


部屋に天気を再現させるtempescope


今年でtempescopeプロジェクト(http://tempescope.com)も3年目になりました。
これまでは細々一人で作ってきたtempescopeですが、去年のMA9でハードウェア賞受賞をきっかけに、チームができ写真家に写真も撮ってもらい
CEATECやMFT2014で展示したり、engadgetGizmodoMAKE:本誌に掲載され、ようやく2015年のクラウドファンディング開始に向けて動き出しました。

個人的にはホリエモンが「欲しい」と言ってくれたあたりがピークです。2回も。




たったの1Clickで飲み屋が予約できる「1Click飲み


去年のMashup Awards 9で優勝した1Click飲みは事業譲渡して、別の運営主体様にお任せすることになりました。(リンク

まだプロモーションをかけていないので使っている人は少ないのですが、実はちゃんと使えます→ App Storeリンク


実験:建物のWifiをホッピングして東京から大阪まで通信できるか


日本の全ての家がWifiを備えていたら、Wifi同士を繋いだネットワークで東京からどこまで通信できるか実験してみました。(リンク
今年はこれ以外にも
住んでいる場所の時間帯とTopcoderのスコアの関係を調べたり、
Wikipediaの人に関する情報から色んな分析をしたり、
気象庁のデータをクローリングして、世界で一番過ごしやすい場所を探索したり、
色んなデータで遊びました。
初歩的なクローリングや認識技術を組み合わせるだけでも、軽い学会発表ぐらいならできそうなネタが検証できてしまえる、面白い時代になりましたね。


その他、私事。

・7年勤めた日立の中央研究所を辞めて、Googleのソフトウェアエンジニアになりました。
退職エントリとか書いてないんですが、日立中研に興味ある人は聞いてくださいな。

・子供が生まれました。

これが:


こうなりました:



来年の抱負とか。

今年は「作って、アップして、メディアに紹介されて満足して、終わり」の物が多すぎた気がします。
来年はもう少し、最後まで行く物を増やしていきたいと思います。
例えばtempescopeは来年の今頃は販売している予定です。
その他のプロジェクトもオープンソース化したり、売ったり、コミュニティを作ってちゃんと形に残すことを目指していきたいです。
そんなわけで2015年も河本の実験室を宜しくお願いします。

2014年12月22日月曜日

iPhoneをサーモカメラにできるFLIR ONEを遊び倒してみた


こんにちは。河本です。
ちょっとクリスマスには早いですが、長らく欲しかったFLIR ONEが手に入ったので遊び倒してみました。


FLIR ONEで見れば排気ガスが熱いのが見える!

FLIR ONEってなに?

こいつです:

*日本だと並行輸入品でしか買えないので高いです。国内で販売が始まるのを待ったほうがいいです。

iPhoneに装着するだけで、↑みたいな熱画像が撮影できるようになるiPhoneカバーです。
今のところ0℃から100℃の間で120x160ピクセルの画像が撮れるっぽいです。


なにができるの?

FLIR ONEをもって色々撮ってみました。
街を見ると、人がくっきり見える
車はエンジンとタイヤが熱い!


スーパーにて。レンコンだけ冷たい。陳列したばかり?

鍋が熱い!
Arduino UNO
駐車場を見下ろすと、さっきまで走ってた車がわかる
冷え性の僕(左)と妻(右)
赤ちゃん超かわいい。


FLIR ONE×プロジェクタで「熱さ」が見える机を作ってみた

こんなハックもできます。
FLIR ONEの出力をプロジェクタで投影することで、物の熱さが見える机を作って見ました。
見た目が同じでも違う温度の水が入ったグラスが違う色になったり、
熱湯と氷水をトレーに入れると、少しずつ混ざり合う様子が可視化されて面白いです。
食べ物を冷まして子供に食べさせるのにも使えそうですね。
これを実装したアプリやプロジェクションマッピングのサーバのソースを欲しい人がいたら連絡ください。


不満たらたら

以下、改善して欲しい点:
カメラを認識するまでの時間が遅すぎる。公式アプリでも自作アプリでも、カメラへの接続を開始してからちゃんと認識するまでボタンを押しまくったりして平均20~30秒ぐらいかかります。即応性がないと、「いざ」という時に接続ができなくて困りそうです。
iPhoneを充電してくれるわけではない。iPhoneカバーとしては特大サイズですが、追加バッテリーと思えばそこまで酷くはありません。しかしFLIR ONE自身は自分用のバッテリを積んでいるにもかかわらず、iPhoneは充電されません。何故そうした。
着けたままだとiPhoneを充電できないし、デバッグが面倒。FLIR ONEを着けていると、iPhoneの充電口がふさがれてしまいます。その結果、FLIR ONEを着けたままではiPhoneの充電もできないですし、PCに接続してデバッグすることもできません。↑のプロジェクションマッピングを作るためには、わざわざログをネットワークに吐き出すモジュールを作りました。面倒。

色々直して欲しい点はありますが、街や世界を今までと全く違った視点で見れるのは本当に楽しい体験です。
まだ国内で買うと高いですが、是非みなさんも機会を見つけて遊んでみてください。

2014年12月1日月曜日

世界で一番住みやすい場所を計算してみた

こんにちは。河本です。

東京は寒すぎず、カラっとした過ごしやすい日が続いてます。

こんな日が続くと日本は世界で一番快適な国なんじゃないか、なんて思ってしまいますね。

ところで本当に世界で一番過ごしやすい地点ってどこなんでしょう?

気象庁が出している数値予報データから計算してみました。
全球の気温 (2013.11.30 06:00+UTC)
(Background image taken from TerraMetrics for educational purposes)

方法

まず元データとして、気象庁が計算している6時間毎の全球域数値予報モデルを取得しました。
これは、6時間毎に地球を0.5度毎に区切った領域全ての気温、湿度、風速、気圧などを計算したデータです。
(ちなみにSynthetic Skyはこれの1時間毎のデータを使ってます)

これを使えば世界中の好きな場所の温度(上図)や湿度(下図)がわかるわけです。

全球の湿度 (2013.11.30ぐらい)
(Background image taken from TerraMetrics for educational purposes)

また、「過ごしやすさ」を定量化するために「不快指数」を使います。

不快指数とは、知っての通り温度と湿度から「不快さ」を定量化する指標です。
ただし、65~70を快適さの中心として、これより高い場合は「暑くて不快」、低い場合は「寒くて不快」という評価を行う指標なため、少し扱いにくいのが欠点です。

そこで、もっとわかりやすい「快適指数」という指標を定義しました。

単純にふるまいが「高いほど快適」「低いほど不快」となるように「不快指数」を変換しているだけです:
快適指数=   (不快指数が67.5以上の場合) 1-(不快指数-67.5)/(85-67.5)
      (不快指数が67.5未満の場合) 1-(67.5-不快指数)/(67.5-55)
(0~1内に収まるよう適宜切り捨て/切り上げ)
パラメータの選択の意図:
67.5=快適指数の快適域の中心
85=「暑くてたまらない」の閾値
55=「寒い」の閾値

この定義から、地球上の全ての場所の「過ごしやすさ」を定義できるようになりました。

以下の図は一昨日(11月29日)の快適指数を計算したものです。
北半球の多くは寒すぎるため青(不快)になってますね。
日本付近は、陸は青(不快)ですが、海にいけば赤(快適)が広がっています。
逆に、南半球は季節は春で、快適さが広がっています。
地球上の「快適指数」(2014/11/29 09:00JST)
以上のデータを過去1年分(2013年11月29日から2014年11月29日まで)を取得し、以下を計算してみました:
1. 平均「快適指数」が一番高い場所はどこ?
2. 「快適日」(不快指数が65~70の間の日)が年間を通して一番多いのはどこ?

結果

1. 平均「快適指数」が一番高い場所はどこ?
各地点における6時間毎の快適指数を単純に平均化し、最大地点を計算しました。
最大地点はここです:
2013/11/29~2014/11/29の間の快適指数平均値。白いマークは最大地点。どこだこれ。
え、うそ日本じゃないの?
最大値の場所(白いマーク)はウガンダ、年間を通して平均快適指数実に87.4の超優良エリアです。
世界で一番過ごしやすいのはヴィクトリア湖のほとり。

ちなみに東京は平均33.6。
以下の年間の快適指数推移を見ると、この差は明らかです。
東京は冬は快適指数がサチってます(寒すぎるんですね)。
ウガンダは年間を通じて高い快適さを叩き出しています。
春と秋以外は東京の快適指数は低い


年間を通じて高い快適指数のウガンダ




2. 「快適日」(不快指数が65~70の間の日)が年間を通して一番多いのはどこ?
各地点において、快適な日(不快指数65~70の間)であった日数の割合を計算しました。
最大地点はここです:

2013/11/29~2014/11/29の間の快適日数割合。白いマークは最大地点。またここか。
やっぱりウガンダです。
ウガンダの快適日数割合は77%。
東京はたったの14.3%なので、だいぶ勝ってます。
どうやら地球で一番快適な場所はウガンダで間違いないようです。

少し調べてみるとウガンダは「アフリカの真珠」「緑の国ウガンダ」だそうです。(ソース
日本が世界一快適だなんて、世間知らずの思い上がりでした。反省します。

まとめ

・老後はウガンダに住みましょう。アフリカって灼熱のサバンナに象が歩いてるイメージしか無かったんですが、全然違うんですね。「どこだこれ」とか言ってすみませんでした。

・今回は温度と湿度から算出した「快適指数」という観点のみで「一番過ごしやすい」地点を算出してみました。他にも「道を歩いてて殺される率」「ハブに噛まれる率」など色んな「過ごしやすさ」の観点を含めて再度過ごしやすさを評価してみたいですね。

・データがあれば、日常のふとした疑問に簡単に答えられるようになります。データを入手する方法や解析テクニックを小学校とかで教えたら、日本はもっと面白い国になるんじゃないですかね?